気づけば砂漠の真ん中で立っていた。
「ここが今日の戦地か?」
一人になったと思っていたら周りに続々と人が現れた。俺の右隣にも戦士が姿を現す。
「無事飛ばされたみたいだな」
「うん」
「PT入った人は座ってー」
さっきまで飄々としていたキョウがその場を取り仕切り始めた。
「あ、君がリュウ?」
「え?」
初めて見る顔のリトルウィッチやネクロマンサーが俺に近寄ってくる。
「最近入ったんだよね?よろしくー」
「今日は初Gv?頑張ろうね!」
「私達も援護するから思いっきりやっていいよ!」
よろしく、とみんなが背中を叩いてくれた。本当に良いギルドだと改めて思う。
「ん、よろしく」
自然と笑みが零れた。
「リュウちゃんはこっちのPTでいいよね?」
キョウが装着型の無線機を俺に渡した。俺は頷いたのを確認すると後ろに立っていた戦士にも無線を渡す。
「れったんはリュウちゃんと一緒じゃないとヤだよねえ」
ケラケラと笑いながらじゃあ座っててね、と言い残してまた他の人に話しかけ始める。俺は大人しく地面に座り込みながら耳に無線機を嵌めた。トントン、と肩を誰かが突く。
振り向いた先には先ほどのリトルウィッチ。
「ねえねえ、レオが首っ丈のシーフってあなたのこと?」
「へ?」
「ちょっとルシィ、本人に言ったって分かるわけないでしょ」
ルシィと呼ばれたリトルウィッチはコノハに突かれている。
「聞くときはこっちのアホ戦士に聞きなさい」
「あ、そっか」
「お前らな…」
戦士が呆れた表情で振り向いた。
「二人ともデキてるってホント?どっちが女役なの?先に告白したのはどっち?どうやってレオを落としたの?」
何故か質問攻めされる俺。これ、この人絶対天然入ってる。
ポカンと口を開けることしか出来ない俺を不憫に思ってか、戦士が介入してきた。
「ルシィ、そう捲くし立てるな。リュウが困っているだろう」
「あ、ごめんね。そりゃいきなり名前も知らない人に聞かれたって答えられないよね。私はルシィ。よろしくねリュウ君」
「…あ、ああ」
我に返った俺はとりあえず頷いておく。
こんな会話を続けているとキョウの声が響き渡った。
「あと10秒で開始だよー!各自用意して!」
周りがガシャガシャと騒がしくなり始める。皆まだ立ち上がりこそしないものの、武器を構え始めた。
「ルシィ」
剣を手に取りながら戦士が彼女を呼んだ。
「なーに?」
無線を嵌めながら彼女は振り返った。
会話を聞きながら俺も用意を始める。
「男役は俺だ。それから、俺が勝手に一目惚れした」
「は」
何言ってんの、と言おうとして。
「開始!」
キョウの声が聞こえたと同時に魔力を溜め始めた音にかき消されて、多分誰にも俺の声は聞こえなかったと思う。
開始までこぎつけるのが遅いです…
次回、漸く例の男が登場!…かもしれない( ゚∀゚)=◯)`Д゚)・;'
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