「ちょっとお」
突然声をかけられて、俺は文字通り飛び上がった。
慌てて振り向くとコノハが呆れ顔で部屋の入口に立っている。
「久しぶりにギルドに顔出したと思ったら…レオ、あんたねー」
ため息を吐きながらコノハは言葉を続ける。どうやら矛先は俺では無いらしい。ホッと息をつく。
「まだ手は出してない」
「そういうのを手を出したって言うのよ。リュウ、こいつに告白されたでしょ」
「う…ええ?」
疑問形でないあたり、本人から聞いていたのだろうか?俺はなんて答えればいいのか思い浮かばずにあやふやな返事を返した。
「隠さなくても平気よ」
コノハは俺の意図を汲み取ったのか言葉を付け足す。
「別に男同士で付き合うのを否定してるわけじゃないから。あ、言い忘れてたけどウチのGMバイよ」
「はい?」
さらりと言われた衝撃的事実に俺は聞き間違いかと思った。コノハはついと首をすくめた。
「まあウチのGは自由主義だし、お互いそこまで入れ込もうとまで思ってるわけじゃないから気にしなくていいよ」
相手のことが好きなら別だけど、とコノハは笑った。
「…俺はホモじゃないよ」
「そうなの?」
「普通に女の子好きだから」
「じゃあどしてそんな戦闘バカと付き合うの?」
俺は答えに困ってしまった。だって理由なんか、ない。何故と言われても、
「…コイツだから、かな」
首を傾げながら小さく呟いた。
俺達が今いる寝室はギルドホールに繋がっている。が、本来ギルドホールには寝室がない。これはどのレベルのギルドホールも同じで、最高ランクのレベル5のギルドホールにももちろん無かった。何故過去形かって?そりゃ、今はあるからだ。もっと詳しく説明するとだな、GMのキョウがギルドチャットで「寝泊りできる部屋欲しくない?欲しいよねー。ね?」と言い出して相槌をギルメンがした。もちろんそのときはただの冗談だと思った(俺はその会話を聞いていないので知らん)が。
で、次の日ギルメンが来たら扉が壁に何個か増えていた。まさかと思って扉を開けるとそこには綺麗に整えられたシングルベッドが二つ。慌ててギルチャでキョウを呼び出すと共に暇なメンバーが集まってきた。
ギルドホールは毎週行われるギルドホール争奪戦でランクが決まる。その度にホールが入れ替わって他のギルドが使うのではこれいかに、とギルドメンバーが発言すると。
「んーどうせ毎週戦っても最近じゃ入れ替わんないし、いんじゃない?だってウチとタメ張ってんトコってさあ、黒狼ぐらいしかないじゃん」
黒狼。正式名称BlackWolfというギルドだ。天竜と同じくらい有名なところで、黒鯖で上位を争っている。
キョウの「ホールの管理人も説得しといたから♪」とのセリフに管理人を見やると、冷や汗をだらだら流しながら顔をそらしたという。
(よーするに脅したんじゃねーか…)
その時誰もがそう思った(らしい)。
「って俺は戦士から聞いたけど」
「んー…まあそんなとこね。ウチのマスターってば放っておくととんでもないことしでかすからね。だからキラーがいつも一緒にいて面倒見てるの」
「あの二人、いつも一緒なのか?」
「そう、大抵はね。キラーはオカン気質だから、放っておけないんじゃないかしら」
「ふーん」
「コトハ、そんなことより」
レオが若干いらつきながら口を挟んだ。
「しばらくの間出て行ってくれないか」
「なによ私だってリュウと話したい…ってアンタまさか」
「ああ、だから出て行ってくれ」
「…サイテーねえ…」
入ってきたときと同様、呆れた顔でコノハは部屋を出て行った。
書いてたらもんのすごく長くなったんでとりあえずここまで。
次回性描写入ります( ゚∀゚)=◯)`Д゚)・;'
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